読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

トーチソング

方向音痴 車に轢かれ

10月3日(月) 『いちご100%』の話①

 はい。というわけで、『いちご100%』の話をします。
 うまく書けなくて下書きで放置してたんだけど、せっかくだから公開します。

 前回のブログで言ったことだし、みんな『いちご100%』は読んできてくれたよね。
euauo.hatenablog.com

 え、読んでない。安心なさい。
 今、ジャンププラスで50話過ぎまで無料公開してるから、読んできなさい。

 さて一応、どういう漫画なのかというと、冴えない少年・真中淳平が、東城綾西野つかさ南戸唯北大路さつきという東西南北の名を冠した女の子を巡ってドタバタするラブコメディ。メインヒロインは東城と西野の東西コンビで、南北の二人はサブと言える。南はロリ枠、北はお色気枠。
f:id:euauo:20160925172937j:plain
 ヒロインらを東西南北に配置した絵(7巻表紙)

 2005年に連載終了した作品を今更話すのは、僕の公開オナニーのためだけど、まあちょっと聞いておくれよ。
 『いちご100%』の物語は、主人公・真中の上に、謎の美少女が降ってくるところから始まる。
 この空から女の子が降ってくる、という構図は、古い作品なら『天空の城ラピュタ』でも使われている、というのは以前言ったはず。
 最近連載終了した『ニセコイ』と、新連載のラブコメ『ラブラッシュ!』それぞれの第1話でもこの構図は見られる。
f:id:euauo:20160925175419j:plain
 「いち100」(左上)、「ラピュタ」(右上)、『ニセコイ』(左下)、『ラブラッシュ』(左下)の落下シーン

 ちょっと前だと『化物語』でも、戦場ヶ原ひたぎが落っこちてたよね。兎にも角にも、空から降ってくる女の子は、今日の漫画・アニメにも見られる構図なわけだ。遡るとインディアンの神話とかにも見られるらしいよ。

 さて、落ちてきた女の子は運命の相手である。外部からやってきた少女に否応なしに引っ張られる形で、少年の物語は始まるわけだ。
 パズーはシータと出会い、天空の城にたどり着く。一条楽は桐崎千棘と、偽物の恋から本物の愛を成就させる(?)。阿良々木暦戦場ヶ原ひたぎの個人的な問題の解決に付き合い、そして恋人同士になる。
 
 『いちご100%』で、真中の上に降ってきた美少女は東城綾だ。しかし真中は西野を選んだ。これは何故か?
 それについて、50話ぐらいまで追いながら書いてみます。

 空から降ってきた謎の美少女のことを学園のマドンナ・西野つかさと勘違いした真中は、懸垂しながら告白というアクロバティックなアタックをして、見事に西野と付き合うことになる。とはいえ冴えない野郎と学園のマドンナ、釣り合うはずのないカップルである。西野が真中の告白に応じた理由も「おもしろい」から、という恋愛感情からだいぶ離れたものだ。
 f:id:euauo:20160925190217p:plain
 実際いたら、まあ、おもしろいよね

 真中にとって西野は当初、彼女というより姉に近い存在だった言える。「十五で姐やは嫁に行き お里の便りも絶え果てた」というのは童謡『赤とんぼ』の歌詞だが、姉乃至姐というポジションは少年にとっての憧れであり、かつなかなか結ばれない存在だ。真中の懸垂告白は背伸びの暗喩であり、二人の隔たりを文字通り力技で埋めたに過ぎない。
 一方、謎の美少女の正体である東城は、と言えば、普段はおさげに太縁眼鏡という地味な格好をしていた。彼女のノートを拾ったことをきっかけに、真中は正体に気付かないまま、東城とよく話すようになる。映画と小説というお互い内向きな趣味や、自分と同じく地味な外見から、真中は知らず知らずのうちに東城に惹かれていく。空から降ってきた運命の相手なのだから、真中だけでなく作者や読者も、東城エンディングの予定で話を進めていただろう。というのが第1話以降の数話。ここから少年は西へ東へ揺れ動く。
 真中は映像研究部のある泉坂高校を、西野とともに受験する。東城も真中を追って泉坂を受験し、三人は無事合格する。ここで西野は奇策を打つ。「東城さんと同じことやってもあたし勝てないなーって思った」彼女は、泉坂高校を蹴って名門女子高・桜海学園に進学したのだ。ずっと一緒のままでは、西野—真中の間にある姐—少年の関係は変わらない。それどころか、運命の美少女・東城に真中を取られてしまう。あえて距離をおき、東城とともに歩ませることで、彼が成長するのを待つことにしたのだ。ここまでが17話、サブタイトルは「つかさSTYLE」。
 泉坂高校に入学した真中は、新たなヒロインに出会う。北大路さつき、真中と近い価値観・趣味を持つ、良くも悪くも男勝りな少女だ。出会った当初はいがみ合う二人だが、さまざまな経験を通してお互いの共通点に気付き、少しずつ惹かれ合っていく。24話でさつきは真中に告白する。これ以降、彼女は、読者にさつきエンドもあるのではと思わせるぐらいに猛烈なアタックを繰り返す。
 ところがどっこい、さつきエンドはあり得ない。なぜか。この作品がギャルゲーではなく少年漫画だからだ。少年漫画である『いちご100%』では、主人公・真中は着実に成長していく。ちょうど西野が期待したように。彼の成長の場は泉坂高校映像研究部であり、監督として脚本担当の東城とともに歩んでいく。さつきも映像研究部に参加するが、それは好きな男である真中に誘われたからで、映像作品に興味があるからではない。すると彼女のアプローチは、真中の成長、すなわち映像制作の足を引っ張る形で展開される。加えて、さつきはその巨乳で真中を刺激するため、本能vs理性みたいな形で葛藤が真中の頭では渦巻く。
 f:id:euauo:20161003191841j:plain
 さつきに迫られ、東西コンビに救いを求める図(139話)
 
 そんなわけで、さつきはそれなりに恋愛レースで頑張るんだけど、やっぱり最後は勝てなかった。ちなみに南のヒロイン・南戸唯はどうかというと、幼馴染という一つの勝ち筋に乗っていながら、その幼児体型のせいでレースにすら参加しなかった。妹みたいな扱い。南北のヒロインはいずれも、少年ジャンプでは勝てない試合に参加させられたわけだ。
 南戸唯が登場して、東西南北が揃うのは39話。ところが、この回で西野も動く。「もう待てない」からと言って、真中に別れを切り出したのだ。西野も一人の女子高生だからね。仕方ないね。そんな感じで50話までは、東城・北大路の泉坂コンビが真中攻略に関して数歩リードをとる形となる。ここから西野は、唯が桜海学園に入学することで、彼女経由で再び真中に接近することになるんだけど、もう疲れたからこのへんでいいや。もう100話も続くと、さすがに真中も成長して、西野と釣り合うようになるんです。②を書く気になったら、その時にね。
 
 この記事、もうちょっとなんとか叩き直して、12月ぐらいにサークルのブログに転載しようかなとも思ってます。
 
 ところで近況だけど、西野つかさの模写を始めたよ。一日一つ、感謝を込めて。ネテロの正拳突きみたいな感覚。僕は特別な信仰を持ってないのだけど、いずれ死ぬとき、つまらないことや嫌なことを考えて死にたくないな、と。せめて今際の幻覚には西野に会おうと思った次第。西野に微笑まれながら死ぬ、というホームを一つ設けることで、なんだか気分が軽くなったよ。みんなもやってみたら。