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トーチソング

方向音痴 車に轢かれ

1月31日(火) オタクが風俗に行く話

 ちなみに僕は行ったことがありません。流行りのオタク風俗体験記を期待した方には申し訳ない。

 試験期間が終わり、春休みが到来したらしい。これで大学2回生も終わりだ。ストレートで卒業するなら、折り返し地点に入ったところだ。ちょうど締まりきっていない蛇口から水がちょろちょろと流れるように、大した勢いもない日々だったが、気づけば随分と時間が堆積していた。塵も積もれば山となる、ということわざは惰性にも適用できるのだ。
 さて、大学2回生。これは個人的な考えだけど、この期間こそが、童貞が真っ当に女を知る最後の機会だと思う。
 多くの男は高校、早ければ小学校や中学校で甘酸っぱい恋愛を経験する。実際は知らないけど、僕が読んで育ってきた漫画はだいたいそうだ。きっと現実もそうだろう。憧れ、接近し、触れ合い、離れる。そんな眩しい運動を、何気なくこなしてしまうのだ。
 大学に入ってやっと女性と触れ合う、というのは既に少し遅い印象を受ける。しかし、世の中には男子校や女子校があるので、その出身者の半分くらいは、思春期に異性と交流しないまま青年期に入るのだ。僕も中高一貫男子校の出身なので、異性が不在の閉じた空間で、ぬくぬくと純粋培養された性質だ。この大学全入時代、そういった連中は大学で初めて異性を知ることになる。共学出身者より幾らかぎこちない動作を取りながら、遅咲きの春を謳歌する。
 大学1回で早速恋人を作るのは、なんというか少し奔放な感じがする。今までお預けを喰っていた分、逸って目の前の餌にかぶりついてるようにも見える。大学2回、現役で合格していればちょうど成人だし、新環境にも慣れてきた時分。そこで腰を落ち着けて恋人をこしらえるというのが、なんだか至極真っ当な気がしてならない。大学3回以降は、絶好の時期を逃したとか、残りの大学生活はもう半分もないとか、そういう焦り逸りが見え隠れするので、やはり本道には思えない。
 何につけても、大学2回生こそが、童貞が女を知る最後で最良の機会のはずなのだ。それを何事もなく過ごした自分は、なんだか諦観してしまった。仮に今から恋路を走っても、きっとこじらせて躓くだけだ。それなら大怪我をしないように、適当に順路を確認したほうがいいんじゃないか。
 そこで話はタイトルに移る。そろそろ僕も、風俗に行ったほうがいい気がする。童貞を破って世界が変わるか変わらないか、それ自体は問題じゃない。どうせ変わりっこないのに、ひょっとしたら、とか淡い希望を少しでも抱いている自分が問題だ。今では死語となった「セカイ系」に縛られて、好きな女の子とセックスすれば、世界はたちまち逆立ちするんじゃないか、そんな幻想がどこかで捨てられないでいる。もっと正確に言えば、それが幻想だと知らせるのを怖がる自分がいるのだ。セックスしても何も変わらない現実が怖いので、ひたすら先延ばしを繰り返す。いい加減にしろ、もう平成は終わるんだぞ。
 そんな訳で今年の目標は、飛田新地に行って童貞を破ることです。飛田新地、やはりレベルが高いらしい。ツイッターのオタクも言っていた。ブログに体験談が載っていた。きっと僕も、同じように体験談をこのブログに書くんだろうな。
 オタクの風俗体験レビューをよく見かける。面白おかしく初体験を詳細に綴っているが、邪推すると、きっと悔しいんだろうな。可愛い彼女を作ってセックスできなかったこと、金を払ってまでセックスしたのに、世界が何も変わらなかったこと、別に普通のことなのに、妄想に浸かっていたオタクには、きっと物凄く悔しいんだろう。それを割り切ったように笑い話に昇華することで、その悔しさを忘れるんだろう。そんなことないと言われるかもしれないけど、いまだ童貞の僕にはそう見える。その真相も、今年のうちには分かるだろう。
 そんな訳で、今年はきっと童貞を破ります。飛田新地では、小学校時代に好きだった女の子に似た顔の子を探すぞ~。

 おしまい